『海』
その日の海は
銀色に輝いていた
眩しすぎず
視界をやさしく刺激する程度に
海はやはり遠く
なにもさえぎるものもない
久しぶりにみた海は
ちっぽけな私たちを
ただ、横目でみやるのみで
変わらずクールだった
私たちはいったい
こんなにも広大な世界を相手に
なにをしようとしているんだろう
自分の中にいっぱいに詰まっていた
気がかりなことや
重苦しこと
欲張りな気持ち
憤りや怒りまでもが
一気に吸い取られたがごとく
その時、空虚になっている私がいた
2009,4,18